職名 教授
氏名 いながき まさき
稲垣 昌樹
生年月 1956.12
所属 部局 医学系研究科
学科・専攻 生命医科学専攻
講座 基礎医学系講座
教育研究分野 分子生理学分野
TEL 059-231-5005
FAX 059-231-5548
E-mail minagaki@doc.medic. (末尾に mie-u.ac.jp を補ってください)
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学歴 1982年 三重大学医学部卒業
1986年 三重大学医学部博士課程修了
学位 医学博士
所属学会 日本癌学会
日本細胞生物学会
日本薬理学会
社会活動 こども会役員(ソフトボール指導)
職歴 東京都老人総合研究所・部門長
愛知県がんセンター・部長
学術(芸術)賞 井上学術賞
専門分野 生化学、細胞生理学、がん生物学
現在の研究課題 細胞増殖・分化・老化・がん化
担当科目 生理学(学部)、人体機能学(大学院)
主な業績等 私は、非常に安定な不溶性構造物と考えられていた中間径フィラメントが、部位特異的なリン酸化により動的に制御されることを世界で初めて報告した(主要業績1)。さらに、部位特異的リン酸化ペプチドを抗原とする新たな抗体作製法を開発した(主要業績2, 3)。この手法は、タンパク質リン酸化反応の時間的・空間的制御の解析だけでなく、アセチル化やメチル化など様々なタンパク質修飾可視化にも応用され、細胞機能の新たな制御機構解明に多大な貢献を果たしてきた。私は、これらの抗体を用いて、様々なタンパク質の部位特異的リン酸化が、細胞周期を巧妙に制御していることを解明してきた(主要業績4, 5)。さらに、細胞増殖に重要な役割を果たす中間径フィラメントのリン酸化部位に変異を導入したマウスを作製し、これらのマウスが組織特異的な染色体不安定性を示すことを見出した。染色体不安定性はがんの発生・進展と密接に関連することが示唆されているがその詳細は不明な点が多い。
我々の研究成果は、染色体安定性の制御における中間径フィラメントのリン酸化の重要性を明確に示した点で高い独創性を有している。
また、細胞構築や細胞増殖に重要な新規中間径フィラメント結合タンパク質を多数発見してきた。この一つであるトリコプレインが、中心小体においてオーロラAキナーゼの活性化を介して一次線毛の形成を抑制し、細胞増殖を促進すること、トリコプレインをノックダウンして一次線毛を形成させると細胞増殖が停止することを発見した。さらに、トリコプレインがCRL3-KCTD17によりユビキチン化され、プロテアソームで分解されること(主要業績6,7,8)、また、受容体型チロシンキナーゼによりUSP8が活性化されるとトリコプレインが脱ユビキチン化され、オーロラAキナーゼを活性化し、一次線毛形成が抑制されることを解明した(主要業績9,10)。これらの成果は、一次線毛が細胞増殖の抑制機構として作用すること、一次線毛の形成制御に受容体型チロシンキナーゼの下流に存在するユビキチン・プロテアソーム系が関与することを世界で初めて明確に示した点で独創的である。このように、抗リン酸化ペプチド抗体の発明や一次線毛によるがん細胞の増殖制御機構解明において世界最先端の研究成果を挙げている。

【主な原著、総説論文および著書】

1. Inagaki, M.; Nishi, Y.; Nishizawa, K.; Matsuyama, M.; Sato, C., Site-specific phosphorylation induces disassembly of vimentin filaments in vitro. Nature 1987, 328, (6131), 649-52.
2. Matsuoka, Y.; Nishizawa, K.; Yano, T.; Shibata, M.; Ando, S.; Takahashi, T.; Inagaki, M., Two different protein kinases act on a different time schedule as glial filament kinases during mitosis. The EMBO journal 1992, 11, (8), 2895-902.
3. Goto, H.; Inagaki, M., Production of a site- and phosphorylation state-specific antibody. Nat Protoc 2007, 2, (10), 2574-81.
4. Goto, H.; Kiyono, T.; Tomono, Y.; Kawajiri, A.; Urano, T.; Furukawa, K.; Nigg, E. A.; Inagaki, M., Complex formation of Plk1 and INCENP required for metaphase-anaphase transition. Nature cell biology 2006, 8, (2), 180-7.
5. Kasahara, K.; Goto, H.; Izawa, I.; Kiyono, T.; Watanabe, N.; Elowe, S.; Nigg, E. A.; Inagaki, M., PI 3-kinase-dependent phosphorylation of Plk1-Ser99 promotes association with 14-3-3gamma and is required for metaphase-anaphase transition. Nat Commun 2013, 4, 1882.
6. Inoko, A.; Matsuyama, M.; Goto, H.; Ohmuro-Matsuyama, Y.; Hayashi, Y.; Enomoto, M.; Ibi, M.; Urano, T.; Yonemura, S.; Kiyono, T.; Izawa, I.; Inagaki, M., Trichoplein and Aurora A block aberrant primary cilia assembly in proliferating cells. The Journal of cell biology 2012, 197, (3), 391-405.
7. Kasahara, K.; Kawakami, Y.; Kiyono, T.; Yonemura, S.; Kawamura, Y.; Era, S.; Matsuzaki, F.; Goshima, N.; Inagaki, M., Ubiquitin-proteasome system controls ciliogenesis at the initial step of axoneme extension. Nat Commun 2014, 5, 5081.
8. Inaba, H.; Goto, H.; Kasahara, K.; Kumamoto, K.; Yonemura, S.; Inoko, A.; Yamano, S.; Wanibuchi, H.; He, D.; Goshima, N.; Kiyono, T.; Hirotsune, S.; Inagaki, M., Ndel1 suppresses ciliogenesis in proliferating cells by regulating the trichoplein-Aurora A pathway. The Journal of cell biology 2016, 212, (4), 409-23.
9. Kasahara, K.; Aoki, H.; Kiyono, T.; Wang, S.; Kagiwada, H.; Yuge, M.; Tanaka, T.; Nishimura, Y.; Mizoguchi, A.; Goshima, N.; Inagaki, M., EGF receptor kinase suppresses ciliogenesis through activation of USP8 deubiquitinase. Nat Commun 2018, 9, (1), 758.
10. Nishimura, Y.; Kasahara, K.; Shiromizu, T.; Watanabe, M.; Inagaki, M., Primary cilia as signaling hubs in health and disease. Adv Sci (Weinh) 2019, 6, (1), 1801138.